住宅の結露について

1) 住宅の結露について

 

建築家以外であれば成立する結露の予防

 つまり水滴を発生させないだけであればという事です。

 結露はどうして起こるのか?

 殆どの人は結露が起こる理由をこう考えています。

 「暖房をしたので外と中の温度差が出来たから結露したのだ」と

 それは、違います。

 空気という物は暖めれば暖める程に水蒸気を保有できる能力を増します。

 気温0℃で湿度が50%の空気と31℃の50%の空気では31℃のくうきの方が7倍も水蒸気を保有する事が出来るのです。

 当たり前の事です。

 水という物質は100℃を超えると液体ではいられない物質ですからね。

 窓ガラスが結露するのは暖房したからではなく、暖房が足りず、ガラス表面の温度が露点以下だからです。

 カーテンというものはいたずら者!

 カーテンを閉めると窓ガラスとカーテンの間の暖房が行き届かないのでその空間の空気はますます冷たくなり

結露を助長してしまいます。

結露を防ぐには

 しっかり暖房する事

 そうすれば結露の予防だけでなく健康で長生きできる環境が出来ます。

 こんな事を言うとすぐに反論が出ます。

 「暖房せずに、内外の温度差を無くせば結露しないではないか?」と

 それは違います。

 暖房せずに家中低温ではガラス表面どころか家を構成している構造体や部材全てが露点以下になっています

ですから空気中の水分はあらゆる場所で分散結露をしてしまいます。

窓ガラスの結露の分が減っているだけなのです。 

結露は絶対に起きてはならない?

 世の中では住宅の結露について「絶対に起きてはならない!」

 家にも身体にも悪い現象かの様に認識されているようです。

 しかし、それが残念なかん違いとしか言いようがありません。

 結露とは空気中の水蒸気が冷やされることで液体化する現象ですから

 空気中に水分が無ければ結露はしませんが

 人間には相対湿度40~60%の水蒸気が健康に生活するうえで必要です。

 ですから、結露を防ぐ目的で加湿を制限することは自殺行為ともいえる訳です。

 くわえて、冬季に自宅にいて居室間の温度差が原因のヒートショックで亡くなられる方は

 毎年17000人もいますから暖房は健康的に住まう上で必須となります。

暖房をすると相対湿度は必然的に下がりますから、暖房と同時に適切な加湿も必須となるわけです。

 気温22℃以上で相対湿度50%以上の環境ではインフルエンザウイルスも生息できない

(インフルエンザウイルスの生存率(Harper 1961))

 ことがわかっていますから、暖房と加湿の重要性は家族全員の健康にかかわることなのです。

 暖房や加湿には命がかかっていると言ってもよいでしょう。

 窓ガラスや壁が結露で濡れることよりも

 ヒートショックやインフルエンザウイルスを撃退する方が優先順位は上なのです。

 とはいえ、ジメジメした部屋はいかにも不健康に感じます。(実際はそうではなかったとしても)

 数行前に暖房を相対湿度が下がると書きました。

 このことに疑問を感じると思われる方もいると思います。

 冬になって暖房を始めると結露が起きるのだから、結露の原因は暖房であり、

 内外の温度差がその要因なのだと思っている方が少なくありません。

 しかし、それは大きな勘違いだったのです。

 結露とは冷たいものの表面に生じます。

 暖かい部屋でよく冷えた生ビールを飲めば、そのグラスの表面はたちどころに結露します。

 その結露は冷たいビールによってグラスの表面も冷たくなっていたからです。

 これはだれでも納得されることでしょう。 

ならば、もっともっと暖房してビールが温かくなってしまったら結露するでしょうか?

 するはずが有りませんよね?

 結露が起きるのはビールを注いだ直後だったからなのです。

 住宅はヒートショックを起こさないために絶えず温かく保たれていなければなりません。

 正しい暖房をされていれば、それぞれの物体表面は露点温度よりも暖かく蓄熱した状態となり、

 結露などは起きるはずもないのです。

 間欠暖房や、不十分な暖房が物体の表面温度を露点以上に保てず、結露が起きるのです。

 結露は物理現象です。

 摩訶不思議な吸放湿材料が有っても、

 

正しい暖房(熱量)、

正しい加湿(絶対湿度の確保)、

正しい換気(絶対湿度のコントロール)

 

この3点が揃わなければならないのです。


代表 プロフィール

 岡田好勝

(有)オカトミ 代表取締役

ガリレオコンセプト CDO

日本VOC測定協会 副理事長
(株)ユースフルハウス顧問
(株)jigsow CDO
(株)HIJ取締役
 家学塾 主宰



南向きの家は建てるな!

         岡田好勝著

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