続き 家庭部門のCO2排出を66%減らす為に

 

 次に思いつくのは太陽光発電です。今は最も安価な発電設備になりました。

 この家は太陽光パネルで発電した電気が37円/kwで国に買い取ってもらい、電力会社からは25.8円/kwで電気を購入できたので発電した電気は極力売ってしまった方がお得でした。

 特に給湯は深夜電力を利用することで17.78円/kwで電気を購入する事が出来ました。

 

 しかし、現在はエネルギー価格の高騰で電力会社から昼間電気を購入すると42円/kwと高額です。深夜電力でも34.5円/kw(2023年4月現在)と電価格と電価格が逆転してしまいました。

 そこで下のグラフの1月19日以降エコキュートでお湯を沸きあげ時間を午後4時の変更しました。

 この家の太陽光パネルの付いている屋根は南西向きなので午後の方が発電量が多く4時頃に沸きあがったお湯をその日の夕方お風呂で消費する為に保温に使う電気も節約できます。

 深夜電力を使ってエコキュートで湯沸しをする場合は大抵早朝5時に沸きあげてその後夕方にお風呂でお湯を使うまで保温で電力を消費していました。

 今回の電力価格の高騰が無くても買取制度は太陽光パネル設置後10年間です。その後は8.5円~11円の買取です。

売るのは8.5円で買うのは25.8円となれば売れば売るほど損になります。いずれにしても自用で使わなければなりません。

 


 

それなら太陽熱温水器で良いと思う方も多いと思いますが、その通りで熱は熱のまま使うの方が効率が良いです。

今後自家用車を持つ予定が無ければ太陽熱温水器と都市ガスの組み合わせも排出量を大きく減らせます。

しかし電気は給湯以外にも使えますので便利です。太陽熱温水器と太陽光発電パネルの両方の設置もありだと思います。その場合は太陽光発電パネルの枚数を少なく出来ますし、補助的なガス又は灯油ボイラーで済むのでイニシャルコストも思ったよりもかかりません。設置するにあたって自家用での太陽光パネルは南西向きがベストになります。午前中や正午に沢山発電してもあまり使い道がありません。発電の総量よりも使う時間に発電させることの方が重要です。 

 それでは太陽光パネルで発電した電気でお湯を沸かすとどのくらいCO2が減らせるかといえば370ℓタンクにお湯を沸かすのに約5.5kw消費しますので365日にすると2007.5kw使います。その分がそっくり減らせたと言いたいところですが、毎日晴れる訳ではありません

この地域の過去12年間の平均日照時間比率は48%(気象庁データ)でしたのでザックリ0.48を掛けると963.6kwでCO2換算すると年間425㎏CO2減らせる事になります。(実際は曇りでも発電しますのでもう少し減らせます)灯油に換算しますと171ℓ分です。

 

話しは戻りますが、給湯とは関係なくこの家では太陽光発電パネルを設置したことで2016~2022年の4年間平均2004kw電気を買わずに自家用で使えています。(実測値)この給湯以外の自家用分でCO2排出量年間884㎏減らせた事になります。

 将来の給湯の分と合算すると年間でCO2排出量が425㎏+884㎏=1309㎏減る計算です。
売電分も再生可能エネルギーを市場に供給したという事で排出削減量にカウントしたいところですが電気に色や名前が付いている訳でもなく実際にこの家で造られた電気がどこかで使われたと証明が出来ませんのでカウントしません。

 しかし太陽光発電のパネルの製造過程で排出するCO2も考えなくてはなりません。これをペイバックタイムといい設置後約1~3年分の発電は製造過程の排出分の回収として計算します。

製造と発電の収支比率は30年で12倍~21倍とまちまちです。これまでに世界中に大規模なパネル製造ラインを作ってしまったので稼働させないと工場の建設分のペイバック分も不利になってしまうという考え方もあります。